顔面神経麻痺

  • 2015.08.24 Monday
  • 22:19
三十代 女性 

二日前から目の奥が痛くなりその後右首肩が苦しくなった。今朝右目のまばたきが悪いことに気づいて脳外科を受診したら顔面神経麻痺と診断され、ビタミン剤を処方された。口の中がザラザラしている。「先生どうしよう」と泣き声で電話がありました。

病院からそのままこちらに回ってもらい、耳の中や麻痺の状態を確認し、MRI検査の結果から、麻痺がまだ完成していない末梢性の顔面神経麻痺と推察しました。一旦全て麻痺してから回復に向かう経過を辿ることを患者さんに告げ、心の準備をするように励ましました。

予想通り二日後の受診日には右顔面は全く動かなくなっていましたが、患者さんはこうなる事を知らされていた分落ち着いていました。私としては得意な疾患のひとつです。これまでの経験と最新の情報から、傷んだ神経には軽い刺激を、首や肩はしっかりと解し神経回復のための血流を確保することにしました。

と同時に、耳鼻科の受診を勧めました。脳に異常が無いことが分かれば、担当は耳鼻科になるからです。脳外科から紹介してもらうように促しましたが、脳外科の医師はそれを拒みビタミン剤だけで様子を見ると主張しました。結局患者さんが自分で耳鼻科を受診したのは発症から二週間後でした。

耳鼻科の医師からはステロイド剤の点滴を打つタイミングを逃してしまったのでもう治らないと告げられ、患者さんは生きていく事に絶望して戻ってきました。しかし、それまでの鍼灸治療ですでに目と口元の動きが改善し始めていたので、ステロイド剤との併用で、もっと回復すると励まし、耳の後ろの圧痛に自宅でお灸をすえてもらう事にしました。

耳鼻科の医師の予測とは裏腹にステロイド剤を飲み始めてから顔の動きはぐんぐん改善し、発症から約三週間でまぶたから動き出し、一ヶ月で、笑うと口元が左へ引かれる程度になり、二ヶ月を待たずして分からない程度まで治りました。

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診断のポイントはコレ!

顔面神経麻痺は単純ヘルペスによるベル麻痺と帯状疱疹ヘルペスによるハント症候群がその大半を占めます。前者は比較的治りやすく、鍼灸治療でも良好な治療効果を見ますが、後者は4割が後遺症を残すと言われています。

ハント症候群は耳介の発赤・水疱形成や耳痛、難聴、めまいなどを合併するので、その有無を確認してから治療の見通しを伝えるとよいでしょう。

ベル麻痺は新鮮例なら治りが早く、陳旧例は治療が長期化する場合もあるので、当初は2〜3日おきに10回を1クールとして取り組みます。新鮮例の場合来院時に麻痺が完成していない事があり、数日して完全に動かなくなってから回復してくるので、治療で悪化したと勘違いされる事があります。

必ず患者さんには数日内に麻痺が完成する事を告げて驚かないように諭しておきます。

治療のコツはコレ!

低周波通電をするかしないかの議論があります。低周波通電は回復に悪影響を及ぼすと唱える研究結果が出されたからです。しかし、東京女子医大で長年行われていた低周波通電治療で指摘されるような問題(病的共同運動や拘縮の後遺症を助長する)は観察されておらず、治りの悪い症例に対する低周波通電は返って効果的だと反論しています。

私は両方試してみた結果、始めは置鍼で経過を見て、治りが悪い場合は通電をする方法にしています。通電は禁忌だとする見解は代田先生の業績を医学界から葬り去る意図が感じられます。鍼灸師が一斉に通電禁忌論に傾くのは愚かな行為だと思います。


格言

権威からの警告におびえて効果を冷静に評価する姿勢を崩すべきではありません。


 

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