軽作業で起きた腕と背中の痛み

  • 2020.01.12 Sunday
  • 21:15

JUGEMテーマ:健康

60代 女性

左手で物を押えてカッターで切る作業を2時間程したせいか、左の背中から腕にかけて痛くなった。1週間様子を見ていたが、治らないので治療して欲しいと来院されました。

 

寝てると楽で、起きてるとつらく、前屈みで悪化するそうです。普段使い慣れていない筋肉を集中的に使うとこうした事が起こります。この方の場合は、首肩、肩甲骨の内側、腕の後ろ側などに痛みが広がっていたので、硬くなった筋肉を解すように鍼を打ちました。

 

ところが治療中ずっと身体に力を入れっぱなしで緊張が解けないので、なかなか痛みが楽になりません。いわゆる中枢感作(ちゅうすうかんさ)が起こっていました。痛みによって脳が興奮して過敏になっている状態です。

 

そこで、自分が腕や肩に力を入れていることに気がついたら力を抜くようにお願いし、お家でアイシングもしてもらいながら3回治療したら痛みが治まり、5回の治療で終了となりました。

 

新米鍼灸師のための極意講座↓

カッターでものを切る作業も、切り口がずれないように定規をしっかり押えるとなると、上腕三頭筋や広背筋にかなりの負担がかかります。これを2時間集中してやったので、腕から背中にかけて痛みが広がって治まらなくなったようです。

 

腕の使いすぎによる痛みとなると、まずモーリー、アドソン、ライト、ジャクソン、スパーリングといった検査で所見がないか確認することになりますが、この方の場合いずれも陰性で、上腕三頭筋や広背筋、腕橈骨筋などの圧痛を確認してトリガーを同定し治療しました。

 

原因がはっきりしている急性の症状は、トリガーに鍼を正確に当てるだけで、急速に改善していくものなのですが、2回治療しても痛みが戻ってくるとおっしゃるので、治りを妨げている要因を探す必要が出てきました。

 

一番目立ったのは、身体の緊張でした。治療中の脱力がうまく出来ていません。緊張が解けないのは、鍼に対する恐怖心が強いか、まだ治療者との信頼関係が十分でないか、内心悪い病気を疑っている場合が多いものです。

 

もちろん同じ作業を繰り返していれば症状は戻りますが、この方はその後同じ作業はしていません。ただ、大病を患った既往があり、それが再発したのではないかという潜在的な不安が緊張の元になっているようでした。

 

そこで、2回の治療による変化を元に、想定している病態と治りを邪魔している要因を再度詳しく説明し、無意識に身体に力が入っている事に気がついたら脱力するように指導し、丁寧な刺鍼を行ったらようやく中枢の感作がおさまって、鍼治療による効果が素直に現われました。

 

診断のコツは!

原因となった作業を分析して負担がかかった所を正確に掴む。

 

治療のコツは!

予測した反応が出ないときは、阻害要因を見つけて取り除く。

中枢感作を外すのは、患者さんが納得することです。

 

教訓!

単純な病態でも中枢感作があると手こずるものです。

 

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< October 2020 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM