トイレに起きた後寝付けない

  • 2019.12.15 Sunday
  • 17:05

JUGEMテーマ:健康

トイレに起きた後寝付けない、手の震え、字が書きづらい

 

70代の女性が眠れないと来院されました。不眠は20年来のもので安定剤の効きが悪くなったのと手が震えて字が書きづらくなったため、脳梗塞が起きたのではないかと不安になって来院したとのことでした。

 

『身体には』

過去に脳梗塞を患い、左半身にごく軽い麻痺が残っており、動作で両手の震えが増すようでした。身体のこわばりや頭や口元がピクピクと勝手に動く様子も見られました。

 

病院の脳外科に通院し安定剤を処方されており、主治医に症状を訴えても対応が変わらない事への不満もあったようです。

 

『何が起きているのか?』

先ずは、手の震えや書字困難を訴える病気として鑑別すべき、小脳失調、パーキンソン、甲状腺機能亢進症等の可能性は無いか所見を確認しましたが、問題はありませんでした。脳梗塞の後遺症もごくわずかで、不安や緊張が高まっての手の震えや書字困難の可能性が高いようでした。

 

『原因を探る』

これまで効いていた安定剤の効きが弱くなったのは、心配事が増えたせいではないかと考え、最近気がかりなことは無いか尋ねると、ご主人が仕事をリタイヤしてから何もする気が失せてしまったようで、惚けられるのが心配だとの事でした。

 

睡眠の様子を尋ねると、眠剤で寝入るのは問題ないが、トイレに起きた後直ぐに眠れなくなったことを強く気にされてました。自営業でまだお仕事をされており、睡眠不足が仕事に影響するので早く治したいと焦っておられました。受け答えの様子から几帳面で、こだわりが強いことも伺えました。

 

『見立ての説明』

そこで、手の震えや書字困難が脳内疾患から起った場合、どんな所見が出るものなのかを説明し、それが全く見られないことや、これまでの主治医とのやりとりから重大な疾患が隠れている可能性は低いことを説明したら、大分肩の力が抜けてホッとした様子でした。

 

さらに、安定剤の効果に変わりはなく、トイレに起きた後眠れないのは、仕事と介護が重なるかも知れない不安から起っているものだろうと説明し、追加の眠剤を出したり強い安定剤に替えることを主治医がしなかったのは、そこまで分っていて必要がないと判断したからで、決して患者さんの話を無視したわけではないことを説明しました。

 

目が覚めてから眠れないのは「脳が寝ている場合じゃないと判断したから」のようでした。自分の身体の心配は減ったので、残るはご主人の心配です。これは、私がご主人を拝見することで、一端問題をこちらに預けてもらいました。(後日ご主人は鍼灸治療で元気を取り戻されました。)

 

『治療と指導』

身体を拝見すると、肩と背中のコリが目立ったので、それを解しながら腕に力が入っていることに気づかせて、身体の緊張も自覚してもらいました。さらに、睡眠時間を気にしないこと。寝ようと力まず、布団の中で身体を休めていれば大丈夫だと自分に言い聞かせることをお願いしました。

 

『その後の経過』

2診目には手の震えが減り、字を書くのも楽になりました。

4診目にはトイレに起きてもすぐに眠れるようになりました。

6回の治療で症状が落ち着いたので様子を見ることにしました。

 

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「まずは安全の確保と病態の把握」

愁訴は不眠ですが、副訴に片足のしびれと重い感じ、両手の震えと書字困難があり脳梗塞の既往もあるので、まずはこれらの症状が脳神経疾患や甲状腺機能亢進症などに由来していないか確かめる必要があります。鍼灸師の診察だけでは不十分なので、すでに主治医がチェックしているのかどうかを患者さんに尋ねます。

 

この方の場合脳梗塞の発症が10年以上前で、左足の症状はそれ以来続いているものであり、両手の震えも1年前からで、どちらも主治医は十分把握しているようで、患者さんが症状を訴え続けているにもかかわらず対応が変わらないので鍼灸院を受診したことが分かりました。

 

となると、主治医は様子を見ていて大丈夫と判断している事が推察でき、患者さんはそれに納得していないためこちらに来院したと解釈できます。よって問題解決の手順は、)榲に見落としがないかの確認。⊂評が起こっている理由の解明、4擬圓了廚すみや不安の解消、ご擬垓軌蕕任后

 

具体的には身体診察として、知覚、筋力、腱反射、震えの確認、小脳機能検査、パーキンソン兆候の確認、さらに甲状腺の触診やバイタルの確認、それに付随する問診などを行います。それらに異常がなければ足先のしびれ、下肢の重だるさは脳梗塞の後遺症。両手の震え、書字困難は緊張と年齢的なものとして説明がつきます。

 

不眠に関する思い込みは睡眠時間に関するものが多いものです。また、潜在的な不安がそれを強めています。睡眠のメカニズムを分かりやすく解説し、不要なこだわりを解きます。さらに不安の中身を探り出し、本人に自覚させ、解決策を一緒に考えます。

 

この方の場合、病気の見落としがあるのではないかという不安と、介護の負担が増えるのではないかという二つの不安が大きいことが分かりました。前者は詳細な問診と身体所見の結果を分かりやすく説明することで、後者は問題を私に一時預けてもらうことで棚上げし軽減を図りました。

 

さらに、不眠対策として効果的なのは、眠ろうと力むことを諦めさせることです。しゃっくりを止めようと意識すると返って強まるのと同じで、寝ようと意識することが眠りを妨げます。自分が決めた睡眠時間に満たないと身体に悪いと決め込んでいることを止めさせます。この辺の細かい方法は、また別の機会に書きましょう。

 

 

 

 

 

 

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