不安から来る腰痛

  • 2015.08.25 Tuesday
  • 20:59
50代女性    

 一ヶ月前から朝洗髪するため前屈みになると左下肢痛が出ると言って治療に見えました。診察してみると、さしたる所見がないので腰に負担がかかるような事をしていないか詳しく話を聞いてみました。最近体重が3キロほど増えたことや、介護職でおむつ交換が多いこと、孫や犬の世話もあり、家事負担も多く睡眠時間が少ないことが分かってきました。  

 そこで朝シャンを止めて睡眠時間を増やすように指示し、腰の治療をしたのですが、4日後に来院したときの話では、治療した日は良かったが、翌朝からは腰掛けるとズキンと痛みが走り、車の運転もつらい。夜間痛があり寝返りや寝起きも痛い。以前よりもひどい。すごく悪い。とかなり不安をつのらせての二診目となりました。  

 私の見立てではこうも悪化するような病態とは思えないことから、もしかして重篤な疾患を疑っているのではないかと聞き出してみると、13年前乳がんの手術とリンパ郭清を受けており、母親が癌による腰下肢痛を訴えていたこと、伯父叔母の大半が癌で他界していることなどから正直今回の痛みが癌から来ているのではないかと内心懸念していたと告白されました。以前鍼灸治療で同じ症状が良くなったことから今回も期待して来院したのですが、期待した結果が出ないためにいよいよ不安が増したようです。  

 思った通り癌の不安を隠し持っての来院でした。こうした方の痛みは単なる説得では解消しないので、まずは徹底した検査で懸念を払拭することが先決と判断して病院に紹介状を書きました。担当医はこちらの意を汲んでくれて患者さんの希望に添って出来る限りの詳しい検査を行ったうえで癌の再発はないと断言してくれました。お陰で患者さんの疑念と不安は解消し、何の治療もしないで痛みはきれいに消えてしまいました。


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診断のコツはコレ!

病院での検査で異常が無く、症状も所見もそこまで悪くはないだろうと思えるのに訴え方が執拗で激しい場合は、大概医者の診断を疑っており、自分は重大な疾患を見逃されているのではないかと疑心暗鬼になっているものです。

その患者さんがそう言う心理状態に陥る理由が必ずあるものです。それをうまく聞き出すことで疑念を解消し、治癒に持って行くことが出来ます。それに気がつかないと、「治らない、治らない」と言われ続けてドロップアウトされてしまいます。

秘められたワケを聞き出すには手順があります。まずは診断の間違いないかを再確認します。所見を丁寧に取り直し、本人の訴えをじっくり腰をすえて聞いて問題を整理します。

そのうえで「今の症状が治らないのは何故なのか?ご自分で疑っている原因はありますか?」
もしくは「こんな病気でなければいいのだがと思っている病気はありますか?」と問いかけます。

患者さんとの信頼関係が出来ていれば秘めていた疑念を話してくれるはずです。そのいきさつに共感した上で、慎重に一つ一つ反証しながら患者さんの誤解を解いていきます。このとき先に確認した所見や整理した問題が役に立ちます。

患者さんの不安に共感し、丁寧に所見を確認して疑っている病気がないことを説明してあげられれば一気に問題は解決に向かいます。治療効果もあがり、治癒に持って行けるものです。

この方の場合は癌のハイリスク体質だったのと、既往もあったので、私の問診と説明だけで疑念を解消できるケースではなく、患者さんの気持ちを代弁する内容の紹介状を書くことで自分の役目を果たしました。

検査を依頼した医師とは患者さんの紹介を通して信頼関係を築いてきたおかげで、こちらの意図を汲んだ丁寧な診察と説明をして頂けて、患者さんの疑念を払拭できて症状は治まりました。

格言

患者さんや医療機関との信頼関係が出来ていないと治せないものがある。実直な仕事を重ねてそうした信用を得ること。

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