心因性の咳 (咽喉頭異常感症)

  • 2012.11.19 Monday
  • 17:40
40代女性

   1ヶ月前から日中だけ咳が出る。5年前風邪を引いて咳が止まらなくなりステロイド剤を使っても効かなくて、いつの間にか治まった経験がある。 今回は内科(胃腸科)で気管支炎と診断され投薬と点滴を受けたが治らず、他の内科(循環器科)で抗生剤と風邪薬をもらってもダメで、もう一件別な開業の循環器科でアレルギー反応を調べてもらうも異常なく、最後に呼吸器科でレントゲンと血液検査をしても問題なく、咳止めが処方されたが効かないので鍼で何とかして欲しいと来院されました。

   わずか1ヶ月の間に4件もの開業医を回り何の薬も効かず、検査で悪いところも見つかっておらず、熱と言っても37度ぐらいの微熱で夜間は咳が出ない事などから、心因性(精神的な原因)の咳を疑いました。

   家族構成を伺うと女手一つで高校生と専門学校生を育てておられるとのこと、介護職である事などから今自分が寝込むわけにはいかない!と言う切迫感が伺い取れました。咳をする様子を観察すると、のどが気になって咳払いを繰り返している様で、呼吸音も全体に粗い感じはするのですが、明確な異常は認められず、東洋医学的には梅核気(ばいかくき)、西洋医学的には咽喉頭異常感症と呼ばれる症状でした。

   これは、精神的な緊張が高まるとのどに何かが引っかかっているような感じがして咳払いを繰り返すのが特徴で、この方の場合は空咳にまで発展したもののようでした。 ご本人には喉の筋肉が緊張しているための症状なので、咳払いを繰り返すと返って喉を充血させて症状が悪化するので、できるだけ咳をしないように心がけてみてくださいとお話をし、喉周りや、身体の緊張を解すタイプの鍼治療を施しました。

   それから5日後に治療に見えたときの話では、初診翌日には咳をしたくなったら飴をなめたり水を飲んだりして我慢したら咳が止まってしまった。今は時々咳払いをするぐらいで落ち着いているとのことでした。

   その1週間後に治療に見えたときも咳は止まっていて調子が良いとのこと。そこで初めてご家族を事故で亡くされたことの傷がまだ癒えないと言う話が出てきて、これまでの症状を作り出してきた精神的な原因の一つが明らかにされました。

   さらに1週間後まで経過を見ましたが、症状の再現が無かったので治療を終えました。 結論として、元々肺や気管支には異常はなく、精神的な緊張や不安から喉に違和感を感じ咳払いを繰り返す内に癖になってしまった病態のようでした。

   4件の医院でどの医師も患者さんの精神状態に目を向けず、検査結果で異常がないにもかかわらず安易な投薬でお茶を濁す事を繰り返してきたため、患者さんが医者を信頼できずに早々と見切りを付けてドクターショッピングを繰り返す結果となっていたようです。 身体に現れた心の叫びを敏感にかぎ取る感性がないと、いつまでもこうした患者さんは救えないものです
JUGEMテーマ:健康

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