肛門痛

  • 2015.08.19 Wednesday
  • 22:17
70代女性

   4ヶ月前から肛門がズキズキと痛い。座薬と痛み止めを使うと薬が効いている間だけ楽になるが治らない。これまでに痔の手術は2回経験しているが、医者からは今回は痔の再発はなく、腸の炎症でもあるのかもしれないと言われている。 一週間後に腸ポリープの内視鏡手術を予定しているので何とか鍼で痛みが止まらないだろうか?と来院されました。

   痔と一口に言っても、いわゆるイボ痔、切れ痔、脱肛、痔瘻と種類があり、骨盤内のうっ血で、直腸周囲の静脈が膨らんでイボ痔となり、肛門が切れると切れ痔、直腸が外にめくれ出ると脱肛、肛門に感染を起こして膿が出ると痔瘻と呼ばれます。こうした外見上の変化が見られないにもかかわらず肛門に痛みを感じるとなると、肛門周囲が過敏になっていると考えられます。

  元々脱肛や内痔核の手術をした経験があることから肛門には何らかの変化は起きやすいはずです。そこに不安が加わるとしつこい痛みに変化してしまう場合があります。

  来院されたときの雰囲気から精神的に過度な緊張を強いられるような事情がありそうだなーと感じられたので、まずは肛門痛が起こるメカニズムと、それらに鍼灸が良く効くこと。そして通じを良くして運動し、座りっぱなしをしないように自分でも気を付けることをお願いしてから治療に入りました。

  狙いは骨盤内の血流改善と、腸の動きを良くし、肛門周囲の過敏性を低下させること。さらには、不安と緊張を和らげることです。

  幸い初回の治療が功を奏して2日後に来院された時点では痛みは治まっていました。その2日後少し痛みが出たものの3回の鍼治療で肛門痛は治まり無事に腸ポリープ手術を終えることができた時点で精神緊張と不安が慢性疼痛の原因になることを話したところ、ご自分が抱えておられる家庭の事情を口にされ、張り詰めた緊張が少し緩んだようでした。

  その後は一番痛かったときの2割ぐらいの痛みが日に1回ぐらい感じる程度になり、さらに週1の治療を2回やって痛みが出なくなり治療を終了しました。
 
   もともとあった身体的弱点に不安や緊張が加わると、この程度のことでそんなに痛いはずがないのだがなー?と医者が首をかしげる痛みを生み出してしまうものです。そうした事態に身体と心の両面から鍼灸治療はアプローチして正常化します。

新米鍼灸師のための極意講座↓
JUGEMテーマ:健康
 
診断のポイントはコレ!

肛門の診察で異常が指摘されていないことから過敏性が増しての訴えだと言うことはすぐに推察できます。さらに、初診時の息づかいがせわしなく、話口調に落ち着きがない事などからパニックになりかけている事が感じ取れました。

経験を積むと患者さんが治療室に入ってきた時点で様々な事を見抜くことが出来る様になるものです。電話のやりとりや、問診票の書き方でもかなりのことが分かります。

駆け出しの頃は自分がそう言う能力を持っていることをアピールしたくて、いきなり「あなたの痛みは気の持ち様から来ていますね。こだわりや不安を捨てたら治りますよ」なんて言い放ってみたくなるものです。そして実際にそうしたことで患者さんを傷つけたり、怒らせて脱落されてしまう失敗を何回か経験すると問題を見抜いた上で最終的な落としどころまでさりげなく導けるようになるものです。

この方の場合は自立心が強く、沢山の問題を一人で背負って過敏になっていたので、精神的な解放は後にして、まずは鍼灸で出来るだけのことをしてそれなりの変化を起こしたところで心の問題にも切り込んでいく事にしました。

治療のポイントはここ!

では鍼灸で何が確実に出来るかというと、先に書いたように胃腸の動きを高めて便通を良くする。骨盤内の血流を良くする。そして痛みを和らげる。脳の過敏性を和らげるなどの作用を利用して肛門の過敏性を改善するように治療しました。

結果は前述の通りで、訴えが片付いたところで患者さんがパニックになりかけた事情を話してくれました。こちらとしては「やっぱりね」と思ったわけです。

今回の格言

自立心の強い人の精神的な問題は気づかぬ振りをしてまずは身体の愁訴を減らすことを優先させる。

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM