MRIでは分からない麻痺の原因

  • 2012.09.14 Friday
  • 17:52
70代男性   

   12日前車で旅行に行った。6時間後部座席に乗りっぱなしのあと車を降りたら左下肢が麻痺して力が入らなくなった。しばらくして回復し、翌日また6時間かけて車で戻ってきて降りたら前日と同じように左下肢が麻痺して一時的に力が入らなくなった。脳梗塞でも起こしたのかと思い、脳神経科でCTを撮ってもらったが異常なく、それでは腰に問題があるのだろうと整形外科を受診して一週間後にMRI検査を受ける事になった。検査まで間があるので、以前鍼灸で腰痛を治してもらったから今回も診て欲しいと来院された。検査までの間に鍼灸治療を試したいと整形外科のドクターに話したら、「鍼で治るかなー?」と言われたとのこと。
     鍼で治るかどうかは病態次第なので、ドクターが初診で想定した病態は鍼治療の適応外と言うことだったのだろう。いったい何を想定したのだろうか?もしくは単純に「鍼師に何ができるのか?」と言いたかったのかもしれない。   

   さて、問診から左上肢に麻痺症状が出ていないので、脳梗塞は除外できる。実際上下肢の腱反射を診ても異常は見られなかった。左下肢の二度にわたる脱力は短時間で回復しているが、来院時に若干残っているとのことであった。麻痺を感じたエリアを詳しく聞くと左下肢前面とのこと、この方の腰椎は右凸の強い側弯があり、腰椎はかなりゆがんでいる。所見としては左そけい部と左腰臀部に圧痛が見られるぐらいで、さしたる神経学的な異常所見は見られない。窮屈な車内で長く座っていたことでそけい部を通る大腿神経を圧迫して一時的な麻痺が出たのでは無かろうかと推察した。すでに神経が圧迫される状況にはないのだから、圧痛の残っている部位に鍼をしておけば残った麻痺感も無くなるだろうと考えた。
 
    治療を始める前に、以前自分が経験した似たようなエピソードを話した。それは、初めての社交ダンスの競技会の時に、シャツがずり上がってこないようにお尻のところでゴムベルトを巻いた上にズボンを履いて会場に行き、練習を始めたら下半身に力が入らなくて踊れなくなった事があった。最初は何が起きたのか分からずに困惑し、何か悪い病気にでもなったのだろうかと心配したのだが、もしかしてゴムベルトが原因ではないかと思い当たりそれを外してしばらくしたら下半身に力が入るようになって競技に間に合ったと言う下りである。   

   この方の場合神経を圧迫したものが何であったのかはっきりしなかったので、思い当たる原因を探すヒントになるような話をしてみたのだが、患者さんは私の話が終わるやいなや「先生分かった!腰のコルセットだ!」と叫んだ。「自分は腰が悪いのでいつも腰にコルセットを巻いているのだが、この旅行の時はとりわけきつく巻いていたのを思い出した。」と言う。おそらくはコルセットの前の縁がそけい部を圧迫して一過性の大腿神経麻痺を引き起こしたのだろう。
 
    麻痺の原因も推察できたので、当初の計画通り鍼治療をして「私の見立てが間違っていなければ今日の治療で結果は出ると思いますよ」と言って帰した。その3日後に治療に見えたときは、待合室から治療室に小走りで入ってこられた。残ってた麻痺もすっきり治って、古傷の右下肢痛が気になるとのこと。MRIの検査を待つ間に原因追求も含めて治療が済んでしまった。
JUGEMテーマ:健康

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