終末期の鍼灸ケア

  • 2017.02.26 Sunday
  • 23:34

 癌の治療を諦めた方の終末期ケアをお引き受けすることもあります。信頼関係ができている方なら通院で安定した日常生活が送れるようです。最近癌の告知が一般化したせいか、そうした相談や依頼が増えています。鍼灸はそんな場合も役に立つ医療です。

 

86才 女性 肝臓癌

 

 77歳の時大腸癌の内視鏡手術をした4ヶ月後に肩こり、膝痛を訴えて来院されました。ご主人を7年前に肝臓癌でなくし、以来一人暮らしをしていたので、体調管理にはことのほか熱心で、あまり薬を飲みたくないと10年間当院の鍼灸治療で様々な愁訴を治療してきた方でした。

  

 その間も定期的に大腸検査を受けて癌の再発が無いことをチェックしていたのですが、85歳の時にエコー検査で肝臓に腫瘍が見つかりました。その後入院し、手術はしないことにして抗がん剤を開始しました。鍼灸治療は膝や腰、肩の痛み、めまいふらつきなどに対してこれまで同様に継続し、抗がん剤の副作用もなく日常を取り戻しました。

 

 5ヶ月後CT検査で癌が大きくなっていることが分かり、余生は息子さんの所に身を寄せることにして米沢を離れました。ところが翌年の5月にご本人からお電話があり、思いの外経過が良かったので、もう一度故郷で暮らしたいと思い、知人の協力を得て気候の安定した時期に1ヶ月間の予定で帰ってきたのだそうです。

 

 半年ぶりに来院するなり、「いやーこさ来たくて来たくて。先生に治療してもらいだいど、ずーっと思ってだ。あー安心した」とおっしゃいました。息子さんの家での生活は慣れない所で友達もおらず、ただ死ぬのを待つような日々で不本意だったようです。こんな事ならまだ米沢で過ごせるんじゃないかと思ったのでしょう。

 

 米沢の主治医の了解も得て数日おきに来院してもらいながらターミナルケアーを開始しました。初日は左手が思うように動かないことと、腰背部の痛みでした。癌転移で麻痺でも出ているのかと思いましたが、表現が大げさなだけでした。体力の低下を考慮しながら刺激量を調整し治療しました。

 

 2診目は着物の整理で心身共に疲れ、腰と肩の痛みがメインになりました。3診目は背中のズキズキとした痛みを訴えました。この頃には右肋骨の下に癌が触れるようになりました。4診目は背部痛が減ったものの寝ている時間が増えました。中背部から腰部が膨らんできて微熱が出始めましたが腹水や足のむくみは起きていませんでした。

 

 5診目、6診目と体調は安定してさしたる訴えはありませんでした。声もしっかりしていましたが足のむくみが少し出始めました。肝臓の腫れはますます大きく触れるようになりました。7診目、治療開始から23日目に「朝から急に歩けなくなり3回も転んだ。食欲が無く舌がザラザラする」と訴えられたので体温を測ると38度5分ありました。衰弱が進んできたため主治医の判断を仰ぐタイミングだと思い、治療後主治医に電話をかけ医院まで送り届けました。

 

 翌日入院となり3週間後に病院で息を引き取られました。最後の時間を本人がもっとも望んでいた家で過ごすお手伝いが出来ました。

 

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