嚥下体操のコツ

  • 2007.12.14 Friday
  • 22:13
まず椅子に腰掛けてやりましょう。
寝たきりの方の場合は寝た姿勢で結構ですが、上体を起こせるなら起こしたほうがいいでしょう。

指導する人は、患者さんの正面に立ちます。
指導するほうはオーバーなジェスチャーを心がけます。
これは恥ずかしがっていては出来ないので、初回からハイテンションで、大きな声と大きな動作で引っ張っていきます。

声を出したり舌を出すのに決して躊躇してはいけません。思い切り出して、患者さんにも思い切り出させます。

1〜3:最初の深呼吸や首回し、肩の上げ下げは準備体操です。リラックス    できるようにやります。

4:口の運動は「あ」なら目いっぱい口を開けて「あ」を言います。
  「い」は口角を思い切り横に引きます。
  「う」はひょっとこのように唇を前に突き出します。
  声の出し方も、口の前に手や本をかざしてそれに声をぶつけるつもりで  大きな声を出します。

5:舌の運動も思い切り舌を動かします。中途半端はダメです。
  とにかく指導する側が目いっぱいにやって見せないと患者さんは思い切  りやりません。
  途中で患者さんが噴出しても大丈夫。大笑いしながら楽しく元気にやり  ましょう。舌の運動は脳の広い範囲を刺激するので、ボケ防止にもなる  運動です。

6:頬を膨らます時はふぐのようにプクーっと膨らまし、頬をすぼめる時は  思い切り口を吸って頬を凹ませます。

7:飲み込む力が弱っている時は、吐き出す力も弱っています。誤嚥してむ  せた時に、しっかり咳払いして出す力を養っておく必要があります。
  強く息を噴出すのはそのための腹筋を鍛える運動です。
  患者さんの噴出す力が弱い時はティッシュペーパーを使うと励みになり  ます。噴出す力が強い人にはハンカチを使ったり、かざす位置を患者さ  んの口から遠ざけるのもいい方法です。

8:「ぱ、た、か、ら」といった破裂音も飲み込む力を養うのに必要な口と  舌の動きを鍛えます。歯切れよく、つばが飛ぶぐらいの勢いでパッパッ  パッとやります。
  患者さんの耳が遠くなっていて、「た」「か」「ら」が聞き分けられな  い時があるので、必ず田んぼの「た」、カラスの「か」、ラッパの    「ら」と言ってやります。

この嚥下体操のいいところは、飲み込みがよくなってむせる事がなくなり、誤嚥による肺炎を防止できることだけでなく、患者さんの意識がはっきりして、意欲が出てくるし、とにかく元気になることです。

普段私たちは日常生活で大声を出す事などあまりありません。(カラオケに行くとか、子供のクラブの応援に行った時ぐらいでしょう。)ましてや老人にとっては何十年も大声など出した事が無いでしょう。

それをやらせることで、パッと目が覚めたようになるのです。この大声を出す事の脳の覚醒効果は絶大です。その影響は全身に及びます。とにかく年寄がしゃきっとするのです。そのためにも指導する側は大きな声で歯切れよく元気にやらないといけません。

最初は家の中で急に大声を出すので周りの人がびっくりするものです。
でも、大丈夫!!それをお構いなしに思い切りやっていると、回りも自分も患者さんも皆それに慣れてしまいます。老衰した老人のいる空間に活を入れる気持ちでやってください。

嚥下体操

  • 2007.12.13 Thursday
  • 10:19
長生き体操
と呼んでもいいのではないかと思っています。高齢者が亡くなるきっかけで多いのが、転倒、誤嚥、風邪です。

転倒して足を骨折し、その治りが悪いと寝たきりになって寿命が縮まります。誤嚥で肺炎を繰り返す事もしかりです。転びやすくなるのは筋力と神経機能の衰えによるもので、これらの機能を総合的に高めて転倒しないような身体にするのはなかなか大変な作業になります。

しかし、嚥下体操は効果がすぐに出てくるし、手軽に出来るので気力が続かない高齢者でも無理なくコンスタントに継続できます。さらに良いことは大きな声を出す練習が入っているので、これが脳を覚醒し気力を増す効果絶大です。

嚥下体操について詳しく書いてあるのは「嚥下障害支援サイトswallow」と言うサイトです。
http://www.swallow-web.com/

ただこのメニューではちょっとやることが多すぎて、超高齢者や寝たきりの患者さんでは続けるのが困難になります。
そこで私なりにアレンジしたメニューを紹介します。

1.深呼吸 を三回
2.首の運動
 ぐるっと二周ゆっくり首を回します.回しにくい方は出来るところまで回 しましょう.
 ゆっくり左に回しましょう.  右に回しましょう.
3.肩の体操
 こんどは肩の体操です.両肩をギューっとすぼめてからストンと力を抜いて落とします。
 これを三回 繰り返します。「ハイ、肩をすぼめます。ギュー、ストン。ギュー、ストン、ギュー、ストン」
 と言いながらこちらもやって見せると簡単に出来ます。
 麻痺などがあってうまくできない方は腕を支えるようにして少し手伝ってあげると良いでしょう.
 ゆっくり上げてそのまま1,2,3と数えてストンと落とします.
4.口の運動
 まず口を大きく開ける運動としっかり閉じる運動です.
 お口を大きく開け,「アー」と声を出しましょう. 
 つぎは唇を横へ引く運動と,すぼめる運動です.
 まず,唇の両端を横へ力いっぱい引き,「イー」と声を出しましょう. (イー)
 次にお口をすぼめて前へ突き出すようにして「ウー」と声を出しましょう. (ウー) 
 アー、 イー,  ウー,を5回繰り返します。
5.舌の運動
 つぎは舌の体操です.
 前にいっぱいに突き出します。(あっかんべーと言ってやるとついて来ます)
 つぎに舌の先でノドの奥をなめるようにしましょう.(巻き舌にする) 
 これを三回繰り返します。
 こんどは口の左端,右端を舌で触ります.
 これを三回繰り返します。
 そして上唇と下唇をなめるようにします.
 上をなめましょう.  下をなめましょう. 
 これを三回繰り返します。
 いずれも舌をしっかり突き出して出来るだけ遠くをなめるようにします。
6.頬の運動
 次は頬を膨らます運動と,へこます運動です.息がもれる方は指で唇を閉じるように手伝って下さい.
 まずぷーっと頬を膨らませましょう,(あっぷっぷのぷーと言うと付いて来ます)
 今度は力いっぱい吸い,頬をへこましましょう. 
 これを三回繰り返します
7.呼吸訓練
 こんどは呼吸の訓練です.
 ティッシュペーパーを口の前40センチぐらいのところにかざしてフーっと息を吹き付けてなびかせます。
 まずこちらが勢いよくフーっとティッシュを吹いて見せるとやる気を引き出せます。
 これも三回繰り返します。
8.発声練習
 つぎは発声練習をします.最初に「ぱ」を言います.
 「ぱっぱっぱと五回いいます。はい」と声をかけて大きな声を出して「ぱ, ぱ, ぱ, ぱ, ぱ」
 と発声します。そのとき患者さんの目の前に片手を大きく開いてかざし、発声と同時に指を一本ずつ折って行くとうまく行きます。
 次は「田んぼの た を5回です。さんはい!」と号令をかけて
 「た,た,た,た,た」と指を折りながら数えて大きな声で発声させます。
 次に,「からすの か を5回です。さんはい!」.
 「か,か,か,か,か」 
 「 ラッパの ら 、さんはい!」
 「ら,ら,ら,ら,ら」と言った調子です。
 歯切れよく元気にやります。
9.深呼吸
 最後に,深呼吸をします.
 おなかに手を当ててゆっくり息を吸いながら大きくふくらませましょう.
 こんどはゆっくり息を吐き出しましょう. 
 これを三回繰り返します。

3分ぐらいで終わります。

高齢者のリハビリの秘訣
前回書いたとおり、超高齢者の長生きの治療の秘訣は、毎回同じ事をコンスタントに続けることです。日によって気力体力の波があり、リハビリのような働きかけにあまり反応してくれない日もあるもので、そうした調子の悪い日に1回体操を休んでしまうと、ズルズルと後退していってしまうものです。

また、こちらから見れば患者さんのやる気が出ていないように見えるものが、ご本人からすれば、やろうと思っていても身体がしんどくて上手く出来ないと落ち込んでおられる事もあり、その時に治療者側の、「今日はこのぐらいで止めましょう」という言葉は、ある意味残酷です。

「やる気が無いのだから今日は大目に見て早めに止めてあげた」と思っていることが、患者さん側では「見限られた」と受け取っている事があるのです。この受け取り方のずれが、その後のリハビリに大きな影響を与えます。

ですから始めから大きな目標を掲げず、調子の悪い時でもこなせる程度の簡単で短時間に終わるメニューにしてそれを毎回必ずこなさせていく事が結果として効果的なのです。あー今日は調子が悪いからリハビリついてこれるかなー?と思う日でも、数分で終わる内容なら、何とかなるもので、いつもどおりこなせた後は、治療者患者とも小さな達成感と安堵感が生まれるものです。これが弱っている患者さんのリハビリでもっとも大切なポイントです。

ともすればリハビリは機能回復を目的としがちです。これがやれたら次はあれといった風に目標レベルを上げていくことがリハビリだとイメージしがちですが、すこやかな日々を少しでも長く保ってあげる事が必要な状況の患者さんではそうした前向きな姿勢は逆効果になります。

次回は、嚥下体操をするうえでのコツをもう少し解説しましょう。

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