扁桃摘出日記8 |
09:23 |
昼まで点滴をしながら寝てしまった。おや?胃が痛い。しばらく様子見たら一時治ったかに見えたがまた痛み出した。やばい、痛み止めが使えなくなる。
起きていろいろ考え、先ずはゆっくりと食べられる分だけ食べたところで座薬を入れる事にした。それでも痛いときは胃薬を増やそう。
お昼は待望の蕎麦が出た。はやる気持ちを抑えながら口に運ぶ。最初のうちは飲み込めるのだが、次第に痛みが蓄積していき、とうとう箸が止まってうずくまった。少し治ってから牛乳を飲んだ。冷たさが痛みに変わる。これまで無かったことだ。何とか飲み干してバナナをほおばる。これは何とか入る。ビデオを見ながら少しずつ食べたが半分のところでやはり痛みが蓄積して食べられなくなった。ここでナースコールして座薬をもらって入れた。10分ほどして蕎麦に再挑戦したが、食べきることは出来なかった。
水を飲みながら何が良くなったのかを確認してみた。
のどちんこの腫れが引いて、上の方が楽になった。右上の縫合部分の違和感もかなり減った。嚥下障害がなくなった。飲み込む瞬間の痛みが取れたので、飲み込み自体はあまり痛くなくスムーズになった。
頤下の痛みが出たとき腫れなくなった。誤嚥がなくなってむせることがなくなった。寝てての息苦しさが減ってきた。ベッドを起こし気味なら仰向けになってかろうじて寝れるようになった。声が出しやすくなった。顎の痛みが減って口が空けるようになってきた。つばを吐き出していたのをしなくなった。身体がしゃきとしてきた。
では何が悪いのか?
痛み止めが切れると、扁桃のあったところがズキズキ痛んでくる。食事をすると、その痛みが次第に増して耐えられなくなり食事が取れない。うがいをすると喉の下の方と左扁桃のあったところが染みる。嚥下するときに右舌の縁が鋭くいたい。胃が痛くなることがある。
ではこの頤下の痛みは何なのか?
感じとしては舌下腺から唾液が分泌されるときの痛みのような気がするのだが、、、、、?果たして関係あるのかな?でも、薬が切れたときにうがいすると、傷に染みるような痛みがあるしナー。I先生がおっしゃるには全ては神経の刺激だそうで、しかも自律神経なんだそうだ。だから精神的な影響も受けやすいんだって。
これが、I先生の言う葛藤なんだろう。土曜日まではまだ2日半ある。今日から3日前を思い返せば、今より確実にもっと良くなっているはずだから、余計な心配で治りを妨げるのは止めよう。休んでいられる時間はもうない。頭だけでも使わなきゃ。
メールしてるところに先生が来られて検査結果を頂いた。CRPが18H Hb13,3L
以外異常値はない。それぞれ想定内だそうで、痛みが強いとGTP が上がったりするけどそれもないからかなり身体も痛みも楽なはずだぞと言われた。その後はあれこれと雑談に花が咲いた。先のことが「どうでもいいや」って気になると痛みは減るともおっしゃってた。上手く自分を騙せたらね。今の痛みは突然消えるって言われた。そう願いたい。
その後階段昇降を2回やって風呂に入って鍼灸の本を読んで、、、、疲れた。おかしいなーどこかわるいのかなー?と思ったけど、先生との長話、階段昇降、入浴、お昼の痛み、食事量不足と重なればだるくもなるよな。
夕飯時まで痛みは無かったので、安心して夕食を食べたが、、、、相性の悪い卵とじだった。真っ先に卵とじの中のカニの固まりをぱくりと食べたら耳の下が痛くなりだした。味噌汁に逃げたりお粥に逃げるがダメで、ラフランスのコンポートを滑り込ませた。
痛くても入るものは入る。が、痛みは情け容赦ないところまで強まり、いろんな迷いが襲ってくる。でも、さっきのI先生のアドバイスがやんわりとその迷いを退けてくれる。迷いと戦って勝っているわけではない。先生の言葉が、襲い来る迷いの実態を見せてくれては、大したことはないねと露払いしてくれるような感じだ。
そんな事を繰り返しているうちに、一発目の痛みが治ってきた。食事を続けるか迷いながら、お昼の経験を思い起こす。ここから何とか食べたじゃないか。どこかに食べ物が入りやすい道はあるんじゃないか?
そう思い直して、味噌汁からすすり始めたら、上手く入った。その後具を食べたら染みずに滑り込んだ。「あれ、右の舌で攪拌しなければ痛くはないようだぞ」それからお粥を少しずつ飲み込んでいった。何とか入る。なら卵とじの汁だけでも混ぜてみよう。これも何とかなる。
そうこうしているうちに、「もしかして最初にギューと痛くなったあとはあまり反応しないのかな?」と思うようになり、あまり怖がらずに粥を完食した。
これで気をよくして、卵とじのタマネギだけを食べてみたら上手く入る。グリンピースも入る。でも、汁がたっぷり口に入ると痛みが出てくる。やはり、舌下腺の痛みはあるようだ。甘すぎるのは痛みを誘発するようだ。水で甘さと痛みを薄めながら卵とじも完食した。残るはジャガイモと人参の細切りごま油炒め。芋から少しずつ食べてみた。
先生がおっしゃっていた本当の痛みと、恐怖から来る痛みが共存していることにようやく気がつき始めた。口の中で展開されている様々な痛みや感覚を渾然と捉えるのを止め、一つ一つバラして感じてみることにした。
すると、一番嫌な痛み以外は耐えられる痛みとして認識し直しできた。お陰で、大きな痛みの塊が細かい痛みの集りにばらけた。そして注意すべき痛みにだけ気をつけながら箸を進めたら芋を食い終えた。
最後は人参。真っ先に箸を付けたときは「これだけは食べられないだろうな」と思った人参がどうと云うことなく喉を通り始めた。終いには余裕すら出てきた。悪魔のように見えた人参は何だったのか?これで夕飯完食である。やったー!!
ここで初めて、I先生のカウンセリングが効いていたのだと実感できた。
大丈夫退院できる。ちゃんと痛みは無くなる。
今回の入院での一番の収穫だったかもしれない。
扁桃摘出日記8