トリガーポイント鍼治療の効果

 一般の方にはなじみの薄い言葉ですが、トリガーポイント治療というのが今痛みの治療に関して大きな話題になっています。大分前から注目し勉強していたのですが最近より実際の臨床で利用しやすいやり方が発表されたことを受けて、導入に踏み切りました。ごく最近の治療例を紹介します。

肩関節痛    七十代女性
 
   約一年前から右肩の痛みで時々治療してきた患者さんで、車を運転中バイクと接触事故を起こし、その直後から右肩の痛みが強まり腕が全くあげられなくなったと翌日治療に見えました。  
   肩の外側に沢山トリガーポイントが見つかったので、細い鍼を確実に当てる打ち方をしたところ、その場で圧痛が激減し、残ったポイントに追加の鍼を打ってからアイスノンで冷やして治療を終えました。翌日には腕があがり始め、一週間で四回治療してほぼ痛みが無くなりました。  

背部痛     四十代男性
 
   1週間前から左の背中が痛い。右手で工具を持って窮屈な格好で作業をするせいではないかと思うと治療に見えました。この方は痛みに過敏で、ちょっとでも鍼が痛いと治療にならない人ですが、背中に現れたトリガーポイントに鍼を当てていく方法一発で痛みが無くなりました。

ぎっくり腰   三十代男性
 
   前日子供を抱き上げてぎっくり腰になり、痛み止めと腰のアイシングで、何とか動けるようになって来院した方の腰に現れたトリガーポイントに鍼をしたところ、翌日にはほとんど痛みが取れてしまいました。お薬もいらなかったそうです。

肩痛と歯痛   五十代女性
 
   二週間前から左の奥歯が痛くなり、同時に右の肩がチクチク痛むようになった。右の歯を治療中なので反対側で噛むようになったのが原因かもしれないと治療に見えました。  
   右の肩胛骨と肩上部などに沢山の過敏な点が見つかったので、すべてピンポイントで鍼を当てていき、歯の痛みには顔と腕のツボに電気を流したところ、歯の痛みも、肩の痛みも一回で良くなり、ついでに手足の冷えまで軽くなりました。  

   ここに紹介した方はみんな痛みに敏感で、鍼治療が苦手な人たちでしたが、鍼の打ち方を変えたところ、いずれも治療をあまり痛がらずに即効しました。

原因不明の慢性疼痛の解消法

          隠れた原因をことごとくあぶり出し、
        これらの難問を一挙解決する仕事人がいます。

    


              そ れ は                     






           

             鍼を持った私です





        

            
 
 

 実はこれまで長年ここで紹介してきた数々の症例の大半は検査に引っかからない慢性疼痛だったのです。約三十年間そうした問題を解決し続けた結果が今の私の臨床技術になっています。    

 姿勢の悪さが原因で痛みが取れなかった人には姿勢の問題を解決することで痛みを取り、腰や頚に負担の少ない姿勢をお教えします。          
 
 また、痛いところを刺激しすぎて悪化させている人は待合室に入ってきた時点で見抜き指摘し痛みを取ります。脳の興奮の程度は身体に表れる様々な反応で詳細に分析し鍼灸治療で沈静化します。   
 
 心理的な問題も問診を始める前に見当がついてしまうので、問診自体が心理的な治療になっています。治療を始める前にすでに気持ちを軽くしてしまいます。トリガーポイントが隠れていれば速やかに見つけ出し的確に鍼を打つ事で痛みの震源地を解消します。          
 
 さらにご本人が気付かない日常生活の癖を見抜き、それを指摘して痛みの元を絶ちます。脳に焼き付けられた痛みもわずかな鍼刺激で消します。  
          
 

 人の心は身体に様々な形で影響を及ぼし、病気や愁訴の原因となります。また、環境、情報、経験、周囲の対応などが心に与える影響は大きく、心が生み出す身体の問題を解決するには、こうした事柄にまで踏み込んで解決する必要があります。

 とくに、身体の不調に関して医師が関わる頻度は高く、日本社会において医師と患者の力関係の圧倒的な差は多くの医原病(医者の言動が原因で起こる病気)を生み出しています。

 私は、病医院から鍼灸院に逃げ込んでくる患者さん達の心と身体の問題を解決しながら、鍼灸によって身体を正常な状態に導く事を得意としています。  

 とくにここ最近の脳科学の発達により、これまで気のせいとして片付けられてきた心身相関のメカニズムが明らかになり、私が経験的に編み出してきた患者対応のノウハウが理にかなっていると証明されつつあることに勇気づけられています。

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原因不明の慢性疼痛のメカニズム2

ストレスが解消しないので気分も姿勢も変わらない時は? 

そんなときは良い解決策があります。


認知行動療法です。


最近医学界でも話題になっている心理療法で、やり方は簡単で即効性が高い方法です。

 人にとってストレスは、生きていく能力を高めるのに重要な役目をしています。しかし、これが過度に加わって処理できなくなると心を蝕み、心理状態に影響し悪い姿勢を引き起こします。これに不安が加わると、脳は苦痛に過敏になり原因不明の痛みや体調不良を引き起こすことになります。           

しかし不安やストレスはとらえ方によって軽減することが可能です。安定剤を飲むほどではない日常のストレスや不安を和らげる上手い方法は改めてご紹介します。

他にもあった慢性疼痛の原因! 無意識で悪さをする厄介者              

 話を元に戻し、姿勢は良くても、一部の筋肉だけを無意識で緊張させて慢性的な痛みやしびれに悩まされている人も多いものです。人によって様々なパターンがあります。ある人は頚を決まった方にかしげる癖があったり、片足をぴんと伸ばしたままでいる人もいます。こういう人は仰向けにして膝の下に枕を入れると、かかとがベッドから浮いたままになり力を抜いてかかとをおろすことができません。

 腕を緊張させる人も多く、力を抜かせておいてその人の腕を持ち上げ手を離すと、下に落下せずに腕がそのままの位置にとどまっている人もいます。いくら力を抜いたつもりでやっても結果は同じです。肘の痛みを訴える人で、常に肘を伸ばして突っ張らせている人がいます。以前紹介しましたが、バネ指や腱鞘炎の人で治りが悪い人は、いつも無意識で痛い指に力を入れている人です。

 決まった側の肩こりを訴える人をうつぶせに寝かせてみると、こっている方の肩に力が入っているのが観察されます。私の手で肩を下げてもまたすぐに肩が上がってくるのですが本人は無意識です。このように、人は脳を興奮させると無意識に身体のどこかに力を入れて筋肉を緊張させる癖を持っています。これが慢性の痛みやしびれの原因になることも多いのです。

姿を見せず遠くに痛みを飛ばすやっかいなコリ

 こうした癖で四六時中緊張を強いられている筋肉には、痛みを誘発するトリガーポイントと呼ばれる特殊なコリを形成しやすくなります。これも検査では分からない慢性疼痛原因の一つです。

 トリガーポイントは不思議なことに遠くに痛みを飛ばすという特徴があります。たとえば後頭部の下にある筋肉が凝ってトリガーポイントができると痛みは目の奥に飛びます。さらにおしりの筋肉が凝ってトリガーポイントができると下肢の後側に痛みが広がります。これらの痛みは痛いと感じるところを治療しても効果はありません。元になるトリガーポイントを探し出してそこに治療を加えなければ効かないのです。  

 こうしたやっかいなコリを作り出す癖は脳が緊張したときにだけ起こる反射なので、意識に上ることはまず無く、発見しづらい原因です。症状と所見から推察して治療者が指摘してあげることで癖の存在に気がつくものです。癖に気がついたら、その都度仕草を止めるようにするだけ症状がグンと減り、治療効果も持続します。

苦痛を和らげる行為が一転悪者に。その黒幕とは?

 このほかにもまだまだ慢性痛の原因になっている黒幕がいます。人は痛み、しびれ、コリなど身体に異常を感じるとその場所を手で触って悪いところを探ろうとします。さらに揉んだりさすったりしてそれを紛らわそうともします。加えてその場所をストレッチして心地よい刺激を与えようとします。これらは無意識で人間がする苦痛の回避行動です

 実際こうした行為は神経や筋肉の様々なメカニズムによって一時的に苦痛を和らげる効果を持っています。しかし、ここにストレスという精神的な問題が加わると、話は一変してしまうのです。

 精神的ストレスは脳を過敏にして苦痛部位を刺激する行為を過度に繰り返させるようになります。その結果、組織に炎症を起こして症状をこじらせてしまいます。こうした人は来院した際にしきりに気になる部分をいじっているものです。その仕草だけで痛みの犯人が分かります。刺激を止めさせて治療すればあっさり治ってしまいます。

                    しかしこれが遅れると
 今度は痛みが脳に記憶されてしまい、傷が治っても痛みは残ることになります。これも検査に引っかからない慢性疼痛の原因です。

 このようにストレスは人の脳に影響して姿勢を崩し、様々な苦痛を生じ、脳を過敏にして刺激させて症状を悪化させ、しまいに痛みを脳に焼き付けて検査に引っかからない慢性疼痛を作り出します。誠にやっかいなものです。

原因不明の慢性疼痛が起こるメカニズム

今回は最近次々と分かってきた原因不明の慢性疼痛が起こるメカニズムについてご紹介します。さらにこうしたメカニズムに鍼灸治療が決定的な役割を果たす理由も詳しく解説します。「ためしてガッテン」からの引用が多いため文体もそれに似せて書いてみました。

検査では見つからず、治療の効果を消して、いつの間に手術を必要とするような事態を招くやっかいな習慣があります
 
 原因不明の慢性頚痛、肩こり、腰痛で苦しむ人は数知れず、何件もの病院をはしごしても原因は見つかりません。しかもその多くは治療で一時的に良くなってもすぐにまた症状が戻ります。さらに長い年月を経て最終的には手術を必要とするような問題にも発展するという困った習慣があります。

それは姿勢です。正しい姿勢とよく言いますが、何が正しいのでしょうか?軍隊式の気を付けの姿勢が正しいとすれば、何とも窮屈で、とても習慣化できるとは思えません。
 そこで今回は姿勢による身体のトラブルのメカニズムや、良い姿勢を習慣づけるコツを徹底解説します。

黙って座ればぴたりと当たる



 患者さんが待合室の椅子に腰掛けてる様子で腰痛や肩こり、手のしびれなどの原因がすぐに分かります。患者さん自身がその姿勢や仕草で原因を見せてくれるからです。 
 筋力不足で慢性の腰痛を訴える人は足を投げ出して椅子に浅く腰掛け背もたれに寄りかかる癖を持っています。もしくは足を組み片腕を背もたれにかけて斜めに座る人もいます。肩こり頭痛を訴える人は背中を丸くして目線を下に向けて座り、頚の痛みを訴える人は背中を丸めて顎を挙げた姿勢を取ります。片方の頚や腕の痛みしびれを訴える人は頚を少しかしげているものです。こうした姿勢は本人にとっては楽な姿勢なのですが、実は慢性痛の原因になっていたのです。

姿勢を変えるだけでこんなに得する! 健康と開運の法則

 以前プロボーラー(ボーリングの選手)が肩が痛くて調子が出ないと来院したのですが、治療ベッドに腰掛けた姿勢が腰を丸くして肩を落とし顎があがっていたので、「そんな姿勢では肩の可動範囲が制限されて痛みが出るのは当然だし、負けて肩を落としたような姿勢では勝負に勝てないよ。まずは腰を伸ばして胸を張ってごらん。きっと戦績があがるから」と言って治療をしたところ、肩の痛みが楽になったばかりか、試合で入賞まで果たしました。では何故そんなことが起こるのでしょう?

心理と筋肉の緊張には一定のパターンがある 

人の心理状態と筋肉は一定のパターンで連動しています。たとえば、楽しいときにべそをかいたような表情をする人はいません。怒っているときにニコニコした表情をする人もいません。顔の表情筋は必ずそのときの心理状態と一致したパターンで動きます。それは姿勢も同じで、がっかりしている人が胸を張った姿勢は取りませんし、緊張している人は肩に力が入り身を強ばらせ、けしてリラックスした姿勢を取りません。

 つまり、表情や姿勢を見れば、その人の心理状態も透けて見えると言うことです。だから、良い姿勢を維持するにはその姿勢に見合った心理状態をイメージし続けるのが効果的です。それまで背中を丸くして肩を落としていた人に、背中を伸ばし胸を張り、目線をあげるように指導すると同時に、そのとき感じた気分をいつもイメージするように話します。そうすることで自然と良い姿勢が持続できるようになります。姿勢と心理は表裏一体でお互いに影響を与え合っています。どちらから変えてもコリや痛みが軽減し、気持ちも晴れやかになり運気も改善します。

運気というとちょっと医学的ではありませが、鍼灸は気の医学なのであしからず。
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脱腸の手術を嫌って、鍼灸院を受診するワケ

やむにやまれぬ事情

70代男性
 

   一ヶ月前に小便をこらえてから左下腹に時々刺すような痛みとふくらみを感じるようになり、かかりつけの内科で診てもらったら近くの病院を紹介され、そけいヘルニアと診断された。ドクターからは1週間入院して手術するようにと事務的に言われ、その場で手術日の予約を入れるように求められたが、曖昧な返事をして帰ってきた。鍼灸で何とかならないだろうかと治療に見えました。鍼灸でそけいヘルニア(脱腸)を治してくれと言ってくる人も珍しく、何か訳があるのだろうと思い話を聞いてみることにしました。  

   すると、この方は奥さんと二人で商店を営んでおり、今年は大雪で自分が手術で休んだら店の仕事と雪片付けを奥さん一人に任せられず、ましてや手術を迫られたときは年の瀬だったので、年末年始のかき入れ時に休めないので、医者に曖昧なことを言って逃げ帰ってきた次第。幸いにもいきんだときに軽い腹痛が出る程度で年を越せたので、鍼で痛みだけでも和らげてもらってもう少し持たせられないだろうかと考えての来院だったそうです。  

   なるほど話は聞いてみるものだなーと思いました。自分も家内と二人で鍼灸院を経営している身、思い当たることばかりで、この方の話は身につまされるほど理解できました。  

   そこで、「もし手術を受け入れるとしたらいつの時期なら可能ですか?」と聞いたら、大口の取引がみになる3月中頃という返事が返ってきました。なるほど、春になれば雪も降り止んでいるだろうし、1週間ぐらい休めるだろうから、何とかそこまで腹痛を鍼で抑えて手術を引き延ばせられれば助かるのはうなずける。だから病院から逃げ帰って鍼灸院の門を叩いたのか。と合点が行きました。まだヘルニア(腸の脱出)は軽微なので、脱腸帯と呼ばれる腹帯を巻いて息むような無理をしなければ持たせることは可能なのでしょうが、今年は豪雪でとても春まで何事もなく持ち込めるとは思えませんでした。  

   そもそも、そけいヘルニアとはいわゆる脱腸のことで、足の付け根にそけい管と呼ばれる筋膜の裂け目があり、年をとって筋膜が衰えるとそけい管が緩んで、いきんだときに腸などが出てくるようになりるものです。穴が小さいうちは軽い痛みがいきんだときに出るぐらいで済みますが、時間の経過と共に穴が大きくなり、腸が穴から飛び出したまま戻れなくなった場合、ひどい腹痛に見舞われ、有無も言わせぬ緊急手術で腸を切り取ることになります。  

   この方の場合、まだ穴が小さいので何とかだましていられるので、軽い腹痛に対しては鍼灸治療も多少の効果は期待できますが、根本的に緩んだ筋膜を元に戻せる訳ではなく、雪片付けと商品の運搬を繰り返せば、徐々に筋膜の裂け目は大きくなり、いずれは腸が出たきり戻らなくなるもっとも危険な大きさになるのは必至で、そうなればいきなり激痛に襲われ何の段取りもできぬまま緊急入院して開腹手術となり、大切な仕事に穴を開け、経営者として一番恐れていた事態を引き起こしてしまいます。  

   そこで、私は自分の立場と経験から経営者としてのアドバイスをすることにしました。「何故鍼で脱腸を治療してくれとおっしゃったのかよく分かりましたし、あなたの事情も了解しました。私も個人事業者として同じ立場にあり、店主がおいそれと入院できないことも十分理解しています。だからこそあなたのお店にとってもっともリスクの少ない方法をアドバイスさせてください。」そう前置きして、脱腸の詳しいメカニズムを解説し、この冬を無傷で乗り切れるとは思えないこと。除雪と仕事で徐々に筋膜の裂け目は大きくなること。ある程度の大きさになった時が一番腸が穴から出たきり戻れなくなる危険が高まること。そうなれば突然入院手術を余儀なくされ、回復までより時間がかかってしまうことで経営者として一番恐れた事態に陥ること。そうした危険を冒すより、まだ傷が小さい内にすべての段取りを整えて、経営上のリスクを最小限に抑えた形で手術に踏み切れば、入院期間を最短にできるし、回復も早くもっとも賢明な判断だろうと話しました。  

   この方は私の話が終わるやいなや、「分かりました。すぐに家内と相談して手術をする方向で準備します。」と言われ帰って行かれました。それから半月して来院され、手術は20分ぐらいで終了しベッドが込んでいたので5日で退院させられた。入院中幸いに雪が小康状態だったので家内も助かった。お店の休みも最短で済んだと喜ばれました。今は腰痛の治療にいらしています。  

   ドクターからすれば、早いほど簡単に終わる手術だし、手術以外で治るものでもないし、放っておけばとんでもないリスクがあるのだから、すぐに切るのは当然。と思っているので、患者さんに事務的に即座の手術を要求するのでしょうが、患者さんは皆さん生活があり、言うに言われぬ事情も抱えているものです。頭ごなしの説明だけでは患者さんが決断できず、結果として危険な方向に行ってしまうこともあるのです。鍼灸院にはこうした手術を逃れようとして逃げ込んでくる方が沢山いらっしゃいます。  

   どんな理由であっても否定することなく聞いてあげた上で、その方のもっとも利益になる判断ができるような情報を提供することで、問題は安全な方向に解決していくものです。もちろんこれまでにも紹介したように、鍼灸で不要な手術を回避できたような症例もありますが、必要なものは必要と患者さんをきちんと納得させるのも大切な仕事です。
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雪かき症候群

 寒中お見舞い申し上げます

今年もよろしくお願いします。

 明けましておめでとうございます。

本年も当院と当ブログをご愛顧の程宜しくお願い申し上げます。

診療開始は1月4日(水)午前8時半からです。



足の甲の痛み

JUGEMテーマ:健康

七十代 男性

 二日前から両足背(足の甲)が痛くて歩くのが辛いと治療にみえました。思い当たることは何もないと言います。足の甲を押すと痛いところが数カ所ある以外腫れも無く、原因がよく分かりませんでした。

 足の指の間に鍼を刺してみましたが、三日後の時点で痛みは変わらなかったので、足底を支えるテーピングを追加したら歩行痛が軽減しました。
 それから三日後来院したときには、足の甲が腫れて、圧痛も強くなっていました。そこで、アイシングを追加して足底のテーピングもなるだけ貼ったままにしてもらったところ、左足の痛みが減って右だけに絞られてきました。
 五回目に来院されたときに履き物によって痛みに違いが見られることに気がついたとのお話しでした。スリッパや、サンダル、長靴を履いたときは痛くなく歩けるが、短靴はダメだそうで、どうやら歩くときに靴によって足の甲が圧迫されて痛みが出ていたようでした。
 そこで足の指の間よりも足根骨の間(足の甲)にある圧痛に鍼を刺して低周波を流しアイシングをして、短靴を履かないようにお願いしました。その後は仕事の時は長靴を履くようにしていたら痛みが明らかに減ってきて、1週間後に見えたときには足の痛みがグッと減り、その日の治療翌日には痛みが消えたとのことでした。       


骨粗鬆症の長期経過

八十代 女性 

 七十代から腰痛を起こしては鍼灸治療で治してきた患者さんです。当初は働き過ぎによる腰痛でしたが、七十代半ばからは腰が曲がるための痛みになり、八十代に入ってからは骨が弱くなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)による圧迫骨折(背骨が圧縮されるタイプの骨折)を何度か起こしました。病院で痛み止めが出るものの楽にならないので、いつも鍼治療を受けに来ます。この方の八十を超してからの腰痛治療の様子を紹介します。

 三日前から腰背痛が出ている。寝起きがつらいと治療に見えました。来院時は起きているのもやっとの状態でした。片麻痺で入院していたご主人が退院してくることになり、その世話ができるだろうかと心配されていました。三回治療したらトイレに立つのが楽になり、約一ヶ月の間に六回の治療で良くなりました。

 その一年半後、再び腰背痛で来院。やはり数日前から背中が痛く寝起きがつらいと言うことでした。ご主人のおむつ交換が負担になっていました。背骨を叩くと痛みが強く、圧迫骨折を起こしているようでした。ご本人はお嫁さんに負担をかけまいと、腰が痛くても動こうとするため、お嫁さんと私で動かないように説得しながらの治療でした。ほぼ毎日のように五回治療して寝起きの痛みも良くなり、その後間隔を開けながら五週間で十回治療して何でもできるところまで良くなりました。

 さらに三年後、一ヶ月前に尻もちをついたせいか最近腰痛が強まり動けなくなったと治療に見えました。背骨の二カ所に叩くと息が詰まるように痛い場所がありました。このときは治りが早く、二回の治療で痛みが大幅に減り、二週間で四回治療して治りました。   

 年をとったから治りが悪いと思われがちですが、同じように見える腰痛でも、原因によって治る速度が違ってきます。年をとったから治らないと決めつける必要はありません。治るものは治ります。

圧迫骨折による腰痛

 七十代 女性 

 一週間前押し入れに布団をしまった時に腰がぎくっと痛くなった。整形外科でレントゲンを撮り、「骨は異常ない。痛み止めと湿布で様子を見ろ」と言われたが、次第に痛みが強くなってきた。寝起きは太ももに両手をついて身体を支えながらやっと立つがすぐには歩けない。トイレや食事で起き上がるのが辛いと治療に見えました。元々骨粗鬆症でお薬はもらっていたそうですが、腰痛はなく何でも元気にやれていたそうです。      

 背骨を叩くと飛び上がる程痛がるところが二カ所ありました。病院では骨は何でもないと言ったようですが、この場合圧迫骨折があると判断した方が患者さんの実態に合っていました。        息子さんに送ってきてもらって三回治療したものの、通ってくるだけで症状が悪化するのと、患者さんが家族に気を使い始めて一人でタクシーで通うと言い出したので、往診することにしました。六週間で十一回往診して痛みも治まり、二十分ぐらいの道のりを歩いて通ってこられるまでに回復しました。             

 少し話はそれますが、整形外科医は、この方の場合「レントゲンで骨は大したことはない」と説明しました。しかし、実際には骨粗鬆症による軽度の圧迫骨折を起こしていました。そのために、痛みが取れないことに不安を覚え鍼灸院を受診したわけですが、こちらから正確な病態を告げ、自宅安静を保たせ、日常生活の注意事項を教え、往診しながら長くかかる治療期間中患者さんを励まし続けてようやく治癒に導きました。ここまでしないと腰痛をこじらせて困った事態になる可能性がありました。というのは、圧迫骨折の場合、厳重な安静を取っても、痛みが引くのにかなりの日数がかかるため、治療にはそれなりの覚悟が必要になります。           

 しかし、病態を軽く説明されてしまうと、説明と現実のギャップに患者も家族も混乱し、トラブルになります。大概患者さんは不安から「痛い痛い」とヒステリックに痛みを訴え、家族は甘えているのだろうとまともに取り合わなくなり関係がこじれます。場合によっては、寝たきりへの恐怖心から患者さんが無理をして、こじらせてしまうケースも多く見られます。さらに、こうしたやりとりで孤独と絶望を感じ、「死にたい」と口にすることもあるのです。 安易に「大したことはない」と説明を済ませてしまうことなく、正確な病態説明と高齢者の心理に配慮した治療がいかに大切かを医者にも分かって欲しいものです。  

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