かとう鍼灸院ブログここでは私達の治療例を中心に掲載しています。ホームページからお越しの方はカテゴリーに沿って目的の症例をご覧下さい。

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逆流性食道炎による胸焼け 01:33
80代男性

3年前から背中から腰が痛い。歩くと腰が痛くなるのでその時は床に仰向けに寝て腰を左右にひねると治る。何かの拍子に息苦しくなる。そう言って腰の曲がったおじいさんが治療にみえました。

病院では50年前に背中に重量物が当たった事故の後遺症だろうと言われたそうで、対処の方法が無いことから、マッサージを毎日受け、家で背中にお灸を毎晩すえてもらっているそうで、背中を見るとまともな皮膚が見えないくらいびっしりとお灸の痕が付いていました。

その皮膚の状態の凄さや、鍼灸にも毎日通ってくると意気込む様子に私は首を傾げました。と言うのは毎日の治療は明らかにやり過ぎだからです。本人が毎日来るからやってくれと言われても、そういう訳にはいかないので、どこかでちょうど良い刺激量に戻してあげる必要がありました。

この方がここまで治療を必要とする理由は何か?私の問答は続きました。失礼ながら、80代後半の年齢からして少し認知症になりかけているのかな?それとも、思い込みが非常に強いタイプなのかな?だとしたら、毎日治療をせざるを得ないと思い込むに至った原因は何処にあるのだろうか?

50年前に背中に重量物が当たった背骨は変形が強く前にも横にも曲がっているし、心臓のバイパス手術を2回も受けていることから、夜間の背部痛や息苦しさは狭心痛も考えられる。歩くと腰が痛くなるのは脊柱管の狭窄が起こっているからだろうか?

病院から処方されている薬もそれを裏付けるかのように血管を広げる薬が3つ、血の流れを良くする薬が2つ、潰瘍の薬が2つ、痛み止めが1つ、睡眠薬が1つ出されていました。

いろんな疑問を抱えながらも、先ずは変形から来る腰と背中の痛みに鍼灸治療をしたところ4回で症状は軽くなってそのまま来院しなくなりました。

ところが、それから半年後再び受診された時の訴えはこうでした。「一月前に追突事故に遭いむち打ちと腰痛で1週間入院した。歩くと腰が痛いが病院からはシップしかもらえなかった。また、2ヶ月前から時々胸焼けがして胃腸科で逆流性食道炎と診断され薬をもらっている。でも最近は毎晩3時間毎に背中の奥から胸焼けが起こり、胃腸科でもらっている薬だけでは足りないので、パンシロンを飲んで背中にお灸をすえてもらうとスーッと楽になって寝られる。ただ、また3時間すると同じ事が起こる。とのことでした。

これで背中におびただしいお灸の痕を付け続けてきた謎が解けました。逆流性食道炎とは簡単に言うと食道と胃の境目のがゆるくなって横になると胃液が食道に流れ込んで胸焼けを起こす病気なので、特に食後すぐに横にならないように注意する必要があります。でもこの方の場合、寝て3時間経つと胸焼けが起こるようで、その度に胃酸を抑えるパンシロンを飲み、背中に通す胸焼けの痛みをお灸で治め続けてきたようでした。

パンシロンもお灸ももちろん効果はあったのですが、身体を起こして水を飲むだけでも事は治まるし、さらには上半身を少し高くして寝れば、胸焼けそのものが起きなくなるはずでした。

そこで患者さんに病気の特徴を説明し、試しに布団の下に座布団を敷くなどして上半身が斜めになるように工夫して寝ることを勧めました。

効果はてきめんで、その日を境に夜間の胸焼けは消失し、パンシロンもお灸もいらなくなってしまいました。



「何故医者はこんな簡単な事を教えてくれなかったのだろうか?かえって鍼灸師の方が私にはずっと役に立った。」そう言って帰って行かれました。
| 背中の痛み | - | - | posted by acuDr.K
コルセットによるあばらの痛み 10:28
80代女性

今年の春頃から畑仕事のせいかあばらが痛い。特に右が強く、痛みがひどくなると右腕が挙げられなくなる。病院で診てもらったが、働き過ぎと言われ注射を打ってもらい、痛み止めを処方された。何もしないでいると楽だが、畑仕事をすると悪化する。と言って背中が丸くなったおばあさんが治療にみえました。

右のお乳の下を押すとひどく痛がり、肋間神経痛のように見えました。2回治療してあばらの痛みが大分良くなったところで、今度は畑仕事のせいか背中が痛くなったと訴え、次ぎに来院したときには再び両脇腹にピクピクと痛みが走る状態にまで悪化していました。

痛がるあばらを触ると、とても過敏になっていて、ちょっと動くだけでも痛みが走る状態だったので、背中が丸くなって起こる肋間神経痛ではなく、何か別な原因がある印象を持ちました。

「もしかして堅めのコルセットをしてませんか?」と尋ねると、「畑仕事をするときはいつもコルセットをするがそれが硬いかどうかはよく分からない。」と言う返事でした。

念のためしばらくコルセットを着けるのを止めてもらい、4日後に来院してもらったら、あばらの痛みがかなり減っていました。持ってきたコルセットを見ると、ステーと呼ばれるプラスチック製の支え板が前側にも付いている固定力の強いタイプでした。結局このステーが、かがんだ時にあばらに当たり、痛みを起こしていたようでした。


畑仕事の時にコルセットをしないようにしてもらったら、それっきりあばらの痛みはなくなり、背中と腰の痛みだけ訴えるようになり、そちらも8回の治療で良くなりました。

痛みを悪化させる原因をきちんと見つけ出すことで、あばらの痛みに対してはほとんど治療が必要なくなりました。
| その他の痛み | - | - | posted by acuDr.K
鍼を打たなくても治った話 00:31
私の治療の理想は、鍼を打たずして治してしまうことです。とかく鍼灸師は独自の鍼灸理論で病態の全てを説明しようとしたり、鍼のテクニックによって症状を無くそうと夢中になる傾向があります。

でも、もっと大切なのはその症状が起こってくる背景を理解し、心や生活上の歪みを正しておくことだと思います。そうすれば治療そのものが必要なくなる場合もありますし、簡単な治療で治してしまうことも出来ます。

 つまり、治療効果が最大限に発揮できる下地を作って治療することが大事なのです。

 今回は患者さんの様子をよく観察することで、症状の背景を推察し、原因を取り除いてあげることで治療効果を上げた例を3つ紹介します。

手の痺れ
40代男性

2ヶ月前から右手が痺れ冷たく感じるようになったと言って治療にみえました。

治療ベッドに腰掛けた姿勢は、疲れたようにぺこっとお腹をへこまして背中を丸め顎を上げた状態なのが気にかかりました。

左の首を伸すような姿勢を取ると腕に痺れが出るために、頸肩腕症候群と判断し頸部で緊張している筋肉を解すように鍼をしたところ2回で症状は大分軽減しましたが、完全に取り切れるところまでは行きませんでした。

患者さんに背中を伸して姿勢を良くすると手の痺れは治ってしまうことを話しておいたところ、半月して治療にみえたときには手の痺れはなくなっていました。本人が気持ちを切り替えて姿勢を正すように気をつけたのだそうです。

人の姿勢は多分に気分の影響を受けます。「疲れたなー」とか、「つまんないなー」とか、「しんどいなー」と言った気分の時は背中は丸くなりがちです。長期の単身赴任生活や、なれない土地での仕事のストレスなどが丸い背中に現れていたのかもしれません。


私の指摘を受けてご本人が思うところがあったのでしょう。姿勢を良くするように心がけたら頸椎にかかる負担も減って痺れも治ってしまいました。

しゃきっとした姿勢で治療ベッドに腰掛けた患者さんを見て、痺れと一緒に気分の落ち込みも大分減ったように見えました。


| 手のしびれ | - | - | posted by acuDr.K
顎関節症 17:38
顎関節症
60代女性

2年前から右の顎関節痛で大きく口を開けられなくなっている。
特に1ヶ月前から悪化して、顎ばかりでなく、頚肩頭と痛みが広がってしまった。歯科医院を受診しレーザー治療を受けたが少し良くなったぐらいで治らない。鍼で何とかならないかと言ってみえました。



口は指1本分しか開けられず、口を開けると顎関節に痛みが走り、欠伸はもちろん、くしゃみや食事に苦労されていました。

そこで治療は、こめかみとほっぺたにあるツボに鍼を刺して顎の筋肉の緊張を緩め、顎関節の痛みを減らす鍼を打ち、さらに腕のツボを何カ所か押しながら口の開きが大きくなるところを探しそこに置き鍼をしたら、2回の治療で頚肩頭に広がっていた痛みは治まり、顎関節の痛みも減りました。

その後も治療を重ね、1ヶ月ちょっとの間に7回治療して粗方の痛みは取れ、口も大きく開けるようになりました。
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股関節の痛み 21:40
股関節痛

50代男性



2週間前に屋根の雪下ろしをしたせいか、3日前から右足の付け根の外側が痛み出し歩けなくなった。整形外科を受診して筋膜炎と診断され、痛み止めと湿布を処方され電気をかけてもらっているが痛みが止まらないと言って、右足の先に紐をくくりつけて、手で右足を引き上げながら歩いて治療室に入ってこられました。

勾配の強い屋根の山側に右足を向けて踏ん張りながらスノーダンプで雪を
右から左へと移動させたのが悪かったようです。恐らく右の中臀筋を傷めたのでしょう。

仰向けで傷んでいる筋肉を解し、股関節の動きがスムーズになるツボを探し
て鍼を打った後、右を上にして寝てもらい、右足の下にバスタオルを敷いて少し高くなるようにしたところ痛みが止まってしまいました。

そこで負担のかかった腰とお尻に鍼をして患部をアイシングして初日の治療を終えました。自宅でも患部を冷やすようにお願いし、歩くときはゆっくりでいいから痛い方の足をかばわないようにして歩くようにアドバイスしました。

すると、2日後治療にみえたときには紐なしでスタスタ歩いて来られました。
こちらの言いつけをちゃんと守っていたら、痛みがグッと減ったそうです。
5日間で3回治療して治ってしまいました。

この方の治療で肝腎な事は、屋根の雪下ろしで急な斜面に横向きに立って作業をすると何処に負担がかかるかを私が知っていたことでしょう。その経験がないと適切な治療ポイントや刺激の方法、痛みが止まる姿勢が分かりません。

さらに、あえてびっこを引かないように歩かせる指示を出したことが治りを早めました。足を傷めたときはびっこを引くとかえって治りが悪くなるものです。そろっとゆっくり歩くことで、とても早く痛みが取れてくるものです。

| 股関節の痛み | - | - | posted by acuDr.K
耳閉感とふらつき 00:58
ストレスによる耳閉感と不安定感
30代女性

4ヶ月前から耳が詰まる感じがして耳鳴りが出ていた。1週間前に夜中めまいで目が覚め、天井がグルグル回って立ち上がれず、2度吐いた。

耳鼻科を受診し三半規管がおかしいと言われたが、血圧や聴力には異常はなかった。注射を打ってもらったら症状は一時良くなったように思えたが、処方されためまい止めの薬を飲んで1週間過ぎても耳が詰まった感じとバランスの取りづらさは変わらない。一晩に3〜4回目が覚めて熟眠もできない。と来院されました。

鍼灸が良く効くめまいに、頚性めまいというのがあります。頭の向きによって耳の血流が悪くなって起こるめまいです。頚性めまいの患者さんはめまいのする方向を向かないようにして寝るのですぐに分かります。また、頭をいろんな方向に動かすと、めまいを誘発できるので診断は容易です。しかしこの方の場合、頭の向きでめまいが特に強まる様子はありませんでした。

そこで、耳の詰まった感じが楽になるところはないかと頚を探っていったら、左の後頚部に押すと耳のつまりが取れるところが見つかったので、
その場所と合谷にお灸をすえて、あとは肩こりをほぐす鍼をしたら、その日の内に耳に粘土が詰まっていたような感じが紙が詰まってる程度に軽くなり、2回治療しただけで疲れたときに耳が変な感じがする程度まで良くなり、夜も眠れるようになりました。

お家でも、お灸を続けてもらい、5回の治療で耳閉感はなくなり、ふらつきが少しあるぐらいまで回復し、その後は週に1回のペースでしばらく治療を続けたところ、大変体調も良くなり、働きに出るまでになりました。

元々の原因は、隣人の騒音だったようです。夜中に限って騒ぎまくる隣人がいて大変困っていたそうですが、鍼治療をして体調が良くなってからは、考え方も前向きになりそうしたトラブルに負けないようになりました。

| 耳鳴り、めまい | - | - | posted by acuDr.K
扁桃摘出日記10 00:59
気がつくと3時半に座薬を入れたきりで、とうとう3食食べきった。あとはどこまで眠れるかだ。この日は少し遅く寝てみるつもりでいた。と言っても勝手はできないので、9時半頃床についた。

夜は何度か目が覚めた。痛みは来そうで来なかった。なんだかんだで4時半までもつれ込んだ。1〜2時間事に目を覚まして痛みを確認しながら過ごしたようなもんだった。そのうちに右の上の傷がズキズキと痛み出した。右下にして寝てみたが痛みは一向に治らない。ここまでかと思ったが、何で痛いのか?と考えるに至って、多少の充血とのどちんこの位置かもしれないと思い、反対向きに寝てみた。と、痛みは間も無く治った。なーんだ。そんなもんか。これだから夜中の痛みって何倍にも膨らんで判断を誤らせるよな。

しかしここで別の迷いが出てきた。夜中の痛みは座薬なしで何とかなることが分かったけど、寝不足のまま退院を迎えて、今日一日のストレスはクリアできるのかと言う思いだった。さらに、水を飲んだらアタックが来た。アッチャー。いろいろな迷いが湧いてきたが何とか痛みを治め、座薬は入れずに頭を枕に付けた。

次ぎに目が覚めたのは6時半だった。ここまで来てようやくI先生がおっしゃってた、本当の痛みと、恐怖心から来る痛みが理解できた。後者は痛みがいつ襲ってくるか分からない恐怖に耐えるストレスだった。たとえて言うなら、防空壕に身を潜めて真っ暗な中で近づいて来る爆音を聞きながら息を凝らしているときのストレスだったり、転覆した舟の中にかろうじて出来た隙間に身を置いて、真っ暗な中いつ助けが来るか来ないかも分からぬままじっと何日も待ち続けるストレスのうんと軽い奴と言えるだろう。

こういうストレスはちょっとした痛みだけでも容易にパニック発作を起こす。夜中や食事の傷みは耐えられないこともないのだが、あえて座薬を使って対処しようとするのは、パニック発作を起こしたくない心理が働いているからだろう。

また厄介なことに、座薬を使っても、身体の反応はその時々で異なるので、自分が期待していたのとは違う事態が起きるとまた次のパニックを起こしてしまう。例えば痛み止めを使ったにもかかわらず、効いてる時間が短かったり、薬が切れた後の痛みが意外と強かったり、胃が痛くなり出したすると、頼みの綱が効かない不安で気持ちが迷走し始める。どうしたらこの痛みから解放されるのか?なんでこんなことになるのか?と様々なま事が頭を駆け巡る。

宇宙飛行士の適性試験のことを思い出した。もっとも重要な適正は、パニックを起こさないで冷静に判断できる能力だそうだ。穏やかで楽天的で、自分を励ますことが出来て、落ち着いていることそして他人と協調していけること。私にはかなり欠落している能力だろう。

今回図らずもそうした自分の弱点を詳細に分析しながら鍛えてもらう経験が出来た。I先生のナビゲートが適切だったお陰で、あまり道草を食わずに必要な事を学べた。思い切って挑戦した一手だったが、得たものは多かったし大きかった。大成功だと思う。

留守を守ってくれた家内。それを支えてくれた子供達。素晴らしい雰囲気を作り続けてくれた看護師さん始めコメディカルの皆さん。そしてI先生。ありがとう。元気になって必ずこの経験を仕事に反映させます。
| 院長の独り言 | - | - | posted by acuDr.K
扁桃摘出日記 9 21:33
11月26日 術後7日目

その晩は12時ちょっと過ぎに喉の焼けるような痛みで目が覚めた。これがI先生のおっしゃる9割が自分で作っている痛みなのだろうか?寝ていたのだから自分の意識なんか関係していないだろうと思いながらも、耐えられなくなったら座薬を使うことにしてイメージで痛みが消えるのか試してみることにした。

さっきナースステーションまで歩いたときに少し痛みが紛れるような気がしたので、丸めた布団にうずくまりながら、三社祭で御輿を担いでいる光景を想像してみた。御輿に群がる男達を蹴散らしながらようやく御輿の担ぎ棒にたどり着き、「せや、せや」とかけ声をかけて御輿を担ぐ。男の粋の一番の見せ場だ。そんなところでこの痛みが襲ってきたら自分はどうするだろう?痛みでその場にうずくまるだろうか?いや、絶対そんなことはしない。痛みが何だ!俺は男だ!そう粋がって御輿を担いでみせるだろう。観衆の喝采が聞こえたら、調子に乗って痛みなど何でもないことのように振舞っているだろう。ずっしりと御輿の重みが肩に食い込むのを感じながら、喉の痛みも肩の痛みもどうでも良くなるに違いない。と想像していたら、、、、ん?痛み減ってきたぞ。よし、もっと担げ!「せや、せや、せや、せや」とうとう痛みは治ってしまった。

ありゃーホントに座薬なしであの痛みが治まっちゃった。成る程9割が自分で作った痛みなのか。これでもう一眠りしてみよう。。。。。。

今度は3時に同じような痛みで目が覚めた。2時間ちょっとは持ったって事か。さて、今度はまた違ったことを想像してみた。さっき程ではないものの、やはり痛みはおさまってきた。けっこうな痛みがあっても、イメージ次第で痛みがコントロールできることが分かったとので、今夜の実験はこのぐらいにして座薬を入れた。程なく痛みは治り眠りに落ちた。



目が覚めたのは5時半頃だった。6時半まで横になっていてから起き出して、パソコンに向かった。少し寝不足なので頭がスッキリしないが、退院の目処は自分なりに立ったので、I先生に退院をお願いする腹は決まった。

夕べの下剤の効果が現れて通じがついた。朝食前にI先生の回診があった。夕べの夕飯と睡眠の話をしたあと明日帰りたいと切り出したら、「2〜3日は辛いぞ。」と顔に書いてある。「たぶん早まったかなと思うかもしれませんが、身体は着実に回復してるので、辛いのが治まるのも時間の問題だと思ってます。」と答えたら、諦めて退院の許可を下さった。

さて、朝食だ。座薬は3時に入れてるので条件はいい方だ。これが完食できなければ、退院は無い。全粥、茄子の味噌汁、のり、味噌、温泉卵、ふきとあぶらげの煮物だ。味噌汁からすすり始めて卵を粥にまぶした。唾液と混ぜないで飲み込むようにした。少し食べたところで、いつもの痛みが襲ってきた。今日は左の舌根が痛い。しばらく箸を止めて悶絶する。姿勢を正し、交感神経の興奮を高める。少し痛みが和らぐのが分かる。痛みの消退は自分の思いよりゆっくりだ。そのズレが迷いに変わる。ここを理性で落ち着かせる。もう今は、痛み止めの影響は無いのだろう。座薬が効いていようがいまいが唾液腺を刺激すれば痛みは出るし、時間を待てば治るし、その後必ず食事は完食できる。そのパターンを理解して、痛みを逃がしながら食事を完食して行けば、いずれ脳が安心して痛みが減ってくれるだろう。

迷いはあったものの痛みは次第に治ってきたので、味噌汁、具、粥、おかずの順番で一つ一つ平らげていった。のりと味噌を残してとうとう完食出来た。 1時間近く食事にかかるが、何も急いで食べなきゃ行けない訳じゃない。食事に1時間はかかるものだと決めてしまえば何のことはない。食事後痛みを引きずることはなかった。

お昼までなるだけ起きてることにして、朝一でシャワーを浴びてから、コーヒーを買って、飲みながらパソコンに向かった。11時45分。さ、今度は昼食に挑戦だ。

無事完食。!!  これまで培ったノウハウに従って、作法どうりに食事を進めたら、プチトマト以外完食出来た。約1時間近くかかったが、これは少しずつ短縮するだろう。やはり酸味はほんの少しであっても痛みを誘発するようだ。禁止食のほとんどは唾液の分泌を促すものと、舌による攪拌が必要なものなので、 I先生は否定したが、唾液腺の刺激が痛みの中心になることは体験上明らかだと思う。

これでだいぶ食事に対する自信が付いた。私なりのルールは的を射ているようだ。あとは夜間痛。いつもは寝る時間が12時過ぎなので、痛みが襲ってくる時間帯がもっと後ろにずれる可能性がある。今日は少し遅めに寝てみよう。

明日は退院だ
| 院長の独り言 | - | - | posted by acuDr.K
扁桃摘出日記8 09:23
11月25日 術後6日目

昼まで点滴をしながら寝てしまった。おや?胃が痛い。しばらく様子見たら一時治ったかに見えたがまた痛み出した。やばい、痛み止めが使えなくなる。
起きていろいろ考え、先ずはゆっくりと食べられる分だけ食べたところで座薬を入れる事にした。それでも痛いときは胃薬を増やそう。

お昼は待望の蕎麦が出た。はやる気持ちを抑えながら口に運ぶ。最初のうちは飲み込めるのだが、次第に痛みが蓄積していき、とうとう箸が止まってうずくまった。少し治ってから牛乳を飲んだ。冷たさが痛みに変わる。これまで無かったことだ。何とか飲み干してバナナをほおばる。これは何とか入る。ビデオを見ながら少しずつ食べたが半分のところでやはり痛みが蓄積して食べられなくなった。ここでナースコールして座薬をもらって入れた。10分ほどして蕎麦に再挑戦したが、食べきることは出来なかった。

水を飲みながら何が良くなったのかを確認してみた。

のどちんこの腫れが引いて、上の方が楽になった。右上の縫合部分の違和感もかなり減った。嚥下障害がなくなった。飲み込む瞬間の痛みが取れたので、飲み込み自体はあまり痛くなくスムーズになった。

頤下の痛みが出たとき腫れなくなった。誤嚥がなくなってむせることがなくなった。寝てての息苦しさが減ってきた。ベッドを起こし気味なら仰向けになってかろうじて寝れるようになった。声が出しやすくなった。顎の痛みが減って口が空けるようになってきた。つばを吐き出していたのをしなくなった。身体がしゃきとしてきた。

では何が悪いのか?

痛み止めが切れると、扁桃のあったところがズキズキ痛んでくる。食事をすると、その痛みが次第に増して耐えられなくなり食事が取れない。うがいをすると喉の下の方と左扁桃のあったところが染みる。嚥下するときに右舌の縁が鋭くいたい。胃が痛くなることがある。

ではこの頤下の痛みは何なのか?

感じとしては舌下腺から唾液が分泌されるときの痛みのような気がするのだが、、、、、?果たして関係あるのかな?でも、薬が切れたときにうがいすると、傷に染みるような痛みがあるしナー。I先生がおっしゃるには全ては神経の刺激だそうで、しかも自律神経なんだそうだ。だから精神的な影響も受けやすいんだって。

これが、I先生の言う葛藤なんだろう。土曜日まではまだ2日半ある。今日から3日前を思い返せば、今より確実にもっと良くなっているはずだから、余計な心配で治りを妨げるのは止めよう。休んでいられる時間はもうない。頭だけでも使わなきゃ。

メールしてるところに先生が来られて検査結果を頂いた。CRPが18H Hb13,3L
以外異常値はない。それぞれ想定内だそうで、痛みが強いとGTP が上がったりするけどそれもないからかなり身体も痛みも楽なはずだぞと言われた。その後はあれこれと雑談に花が咲いた。先のことが「どうでもいいや」って気になると痛みは減るともおっしゃってた。上手く自分を騙せたらね。今の痛みは突然消えるって言われた。そう願いたい。

その後階段昇降を2回やって風呂に入って鍼灸の本を読んで、、、、疲れた。おかしいなーどこかわるいのかなー?と思ったけど、先生との長話、階段昇降、入浴、お昼の痛み、食事量不足と重なればだるくもなるよな。

夕飯時まで痛みは無かったので、安心して夕食を食べたが、、、、相性の悪い卵とじだった。真っ先に卵とじの中のカニの固まりをぱくりと食べたら耳の下が痛くなりだした。味噌汁に逃げたりお粥に逃げるがダメで、ラフランスのコンポートを滑り込ませた。

痛くても入るものは入る。が、痛みは情け容赦ないところまで強まり、いろんな迷いが襲ってくる。でも、さっきのI先生のアドバイスがやんわりとその迷いを退けてくれる。迷いと戦って勝っているわけではない。先生の言葉が、襲い来る迷いの実態を見せてくれては、大したことはないねと露払いしてくれるような感じだ。

そんな事を繰り返しているうちに、一発目の痛みが治ってきた。食事を続けるか迷いながら、お昼の経験を思い起こす。ここから何とか食べたじゃないか。どこかに食べ物が入りやすい道はあるんじゃないか?

そう思い直して、味噌汁からすすり始めたら、上手く入った。その後具を食べたら染みずに滑り込んだ。「あれ、右の舌で攪拌しなければ痛くはないようだぞ」それからお粥を少しずつ飲み込んでいった。何とか入る。なら卵とじの汁だけでも混ぜてみよう。これも何とかなる。

そうこうしているうちに、「もしかして最初にギューと痛くなったあとはあまり反応しないのかな?」と思うようになり、あまり怖がらずに粥を完食した。

これで気をよくして、卵とじのタマネギだけを食べてみたら上手く入る。グリンピースも入る。でも、汁がたっぷり口に入ると痛みが出てくる。やはり、舌下腺の痛みはあるようだ。甘すぎるのは痛みを誘発するようだ。水で甘さと痛みを薄めながら卵とじも完食した。残るはジャガイモと人参の細切りごま油炒め。芋から少しずつ食べてみた。

先生がおっしゃっていた本当の痛みと、恐怖から来る痛みが共存していることにようやく気がつき始めた。口の中で展開されている様々な痛みや感覚を渾然と捉えるのを止め、一つ一つバラして感じてみることにした。

すると、一番嫌な痛み以外は耐えられる痛みとして認識し直しできた。お陰で、大きな痛みの塊が細かい痛みの集りにばらけた。そして注意すべき痛みにだけ気をつけながら箸を進めたら芋を食い終えた。

最後は人参。真っ先に箸を付けたときは「これだけは食べられないだろうな」と思った人参がどうと云うことなく喉を通り始めた。終いには余裕すら出てきた。悪魔のように見えた人参は何だったのか?これで夕飯完食である。やったー!!

ここで初めて、I先生のカウンセリングが効いていたのだと実感できた。

大丈夫退院できる。ちゃんと痛みは無くなる。

今回の入院での一番の収穫だったかもしれない。

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扁桃摘出日記7 18:25
11月25日 術後6日目

朝の食事:座薬は0時半に入れて、4時半まではぐっすり眠れ、その後は喉のアイシングだけで6時まで眠れた。喉は余計なことをしなければ我慢できる程度の痛みだったので、階段昇降をしたり体操したりで朝を過ごしたが、食事はさすがに辛いだろうと思い30分前に半分かじって飲んだ。それでも15分ぐらいで痛みは軽くなったので、気をよくしていたが、いざ食べ始めたら、痛かった。

鶏そぼろの卵とじが甘すぎるのか喉に染みる。頤下がズキズキと痛み出す。お粥にまぶしたら飲み込めるのではないかと思って粥にかけて混ぜ込んだ。ついでに痛みが襲ってくる前に勝負を決めようと一気に流し込んだら撃沈した。

めっちゃ痛くて身動きできなくなった。これじゃあ朝抜きになっちまうナーと思いながら痛みに耐えてた。ようやく治ってきたところで、恐る恐る味噌汁に手を伸した。「これは痛くなく飲めるはずだ」そう言い聞かしてすすったら飲み込めた。「よし」汁だけすすりきってから、恐る恐る具の麩を口に入れた。

飲み込める。

「よし」味噌汁完食。だったら、ブロッコリーは何とかなるはずだ。ゆっくり口に運ぶ。騙しながらなら飲み込める。

さて、残るは全粥と卵とじだ。卵とじをよけて粥のところだけをそろそろと流し込む。同じメニューでも食べ方次第で結果に大きな差がつく。全く食べられないか、時間はかかっても完食できるかの差だ。

物事全てこうなんだろうナー。一気にがーっと男らしく飯をかっ込む。と言った形にこだわってしまうと、結局何にも出来ないが、形にこだわらなければ、何とか完食まで持って行ける。かっこつけなきゃ結果は出せる。

私の頭の中ではすでに退院後の予定ができあがっていて、無理にそれに間に合わせようともがいて首を絞めているのだろう。

兼続が、義だ義だとかっこを主張したのは勝ち戦の時だ。負けが分かればかっこつけの義は封じてもっと大きな枠の実を優先させた。その辺の賢さ、柔軟さが彼の持ち味なのだろう。勝つときはかっこ良く。負けそうなときはこだわりを捨て実を取る。 今は私にとっては負け戦だ。痛手を負って傷を癒している最中だ。だからかっこは付けない方が賢い。実を取る。

さて、ペアトレで学んだことも同じだ。いろいろと障害を持っている子供に結果を出させようとすると、かっこは付けていられない。結果が大事なのだ。結果を出すために何をするかが大事。相手が負け戦の最中ならそうするのが一番だろう。勝ち戦の時は思い切りかっこつけさせてやればいい。

ところで、痛みと気分刺激の関係だが、食事のあとまだ大分痛みが残っている状態で、試だいすきな曲を聞いてみた。どのぐらい痛みが和らぐかを見たかったのだが、好きな曲を聞いた途端に痛みは吹き飛んだ。正確に表現すると、痛みは半減し、残りの痛みがあることの辛さはほとんど関係なくなった。曲の乗りが心地良くて、その程度の痛みなどどうでも良いことになってしまったのだ。こうも違うものかと驚いた。
今度は曲を聴きながら食事してみよう。

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